遺産分割とは

遺産分割とは

遺産分割とは、相続の開始によって、共同相続人の相続分の割合に応じて各共同相続人に属している相続財産の全部又は一部を、各相続人の単独所有もしくは新たな共有関係に移行させる手続のことです。
相続についてはまず遺言が優先し、遺言がないときに民法の定める法定相続分の割合にて相続人が相続することとなります。

遺産が現金や銀行預金等の分割可能なものであれば相続人の相続分に応じて分割することができます。しかし、不動産のように分割することができない場合、法定相続分に応じて共同相続人間での共有状態になります。そのままの状態では財産の管理・利用・処分等でさまざまな障害や不都合が生じる可能性がでてきます。そこでさまざまな事情を考慮にいれて遺産を分配し、各相続財産ごとにその取得者を決めるのが、遺産分割です。共同相続人が全員で話し合い、誰がどの遺産を取得するのかを決めることになります。この話し合いを「遺産分割協議」といい、共同相続人のうち一人でも欠けている場合は遺産分割協議全体が無効となるので注意が必要です。

遺産分割の様態

遺産分割の態様には、「現物分割」(民法258②)、「代償分割」(家事審判規則109)、「換価分割」(家事審判法15の4)、「共有とする分割」があります。

(1)現物分割

遺産の現物を現物のまま分配する方法であり、例えば、「家と土地はAに」、「車はBに」というように分配する方法です。

(2)代償分割

共同相続人中、特定の相続人に遺産の現物を取得させ、取得した相続人が他の相続人に対して金銭等の自己の財産を代わりに与える方法です。

(3)換価分割

上記(1)又は(2)による分割方法が適当でない場合に、遺産の全部又は一部を売却し、その売却代金から(通常は必要経費等を差し引いて)共同相続人間で金銭による分配を行う方法です。

(4)共有とする分割

遺産の全部又は一部を共同相続人間の共有とする方法で、これにより相続法上の共有を終了させる手続きです。実質的には、遺産の分割をしなかったことと同じになりますが、この分割方法を行うと、以後分割する手続きは「遺産分割」ではなく、「共有物分割」の手続きをとることとなります。