相続人の不存在
相続人の不存在
相続人のあることが明らかでなく、相続人の不存在の疑いがあるときは、相続財産は「相続財産法人」という法人になるもの(法人擬制)とされています。 相続財産法人は、相続人の存在が明らかでないときに、特段の手続を要さずに成立します。相続財産法人が成立したときは、家庭裁判所は、原則として法人の代表者となる相続財産管理人を選任することになります。
「相続人のあることが明らかではないとき」とは
1.「相続人のあることが明らかではないとき」に該当する場合
「戸籍上相続人が存在しない場合」は、「相続人のあることが明らかではないとき」に該当します。戸籍上相続人がいても、全員が廃除されたり相続放棄して相続資格を喪失した場合も同様です。又、戸籍上の相続人は存在しないが、相続たる身分が発生するかもしれない者がいる場合、例えば被相続人に対して認知訴訟、離婚・離縁無効確認訴訟等の身分関係訴訟が係属している場合についても「相続人のあることが明らかではないとき」に該当するとされています。
2.「相続人のあることが明らかではないとき」に該当しない場合
(ア)戸籍上の相続人は存在しないが、「包括受遺者」がいる場合
最高裁判所判決では、包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有するから「相続人のあることが明らかではないとき」に該当しないと判示しています。
(イ)戸籍上相続人が存在するが、その相続人が所在あるいは生死が不明である場合
「相続人のあることが明らかではないとき」に該当しません。これらの場合は、不在者の財産管理制度や失踪宣告の問題となります。