相続人の捜索

相続人の捜索

公告

相続人不存在の際に必要とされる公告は3回あります。

『手続きの流れ』

・被相続人死亡 = 相続開始

    ↓

・利害関係人又は検察官は、家庭裁判所に「相続財産管理人」の選任を申立

    ↓

<1回目の公告>家庭裁判所は相続財産管理人の選任の公告(民法952II)
相続財産管理人の選任の公告があったあと2ヶ月以内に相続人が誰も名乗りでなかった。

    ↓

<2回目の公告>債権者・受遺者に対する請求催告の公告(民法957)
管理人は遅滞なく債権者や受遺者に対して一定の期間を定め(2ヶ月以上)、その期間内に請求の申し出をするよう公告し、知れたる債権者には個別に通知する。

    ↓

    ↓ 申し出た債権者・受遺者が現れたら、まず債権者に弁済し、次に受遺者に

    ↓ 弁済する。この時点で相続財産がないときは手続終了。

    ↓

<3回目の公告>相続人捜索の公告(民法958)

相続債権者や受遺者に対する請求催告の申出期間が経過しても、相続人のいることが明らかでなければ、清算と並行して、家庭裁判所は6ヶ月以上の期間を定めて相続人を探す公告をする。

    ↓

・相続不存在の確定

この期間内に相続人が現れないときは、「相続人不存在」が確定。

    ↓

    ↓………→ ・特別縁故者による財産分与の申立(3ヶ月以内)

    ↓

・国庫へ帰属

特別縁故者の申立がない時や特別縁故者への財産分与が一部に留まり、残りの財産があるときは国庫へと帰属する。

公告に関する注意点

1回目の公告は、家庭裁判所が行うものであり、一方では相続財産に対し利害関係を有する者に対して必要な手段をとることを求め、他方では相続人捜索の公告の意味を持ちます。

2回目の公告は、相続財産管理人が行うものであり、相続人捜索のための事実上2回目の公告という意味と、同時に相続債権者等に対する清算着手の公告の意味を持ちます。

3回目の公告は、今一度相続人捜索のためになす最後の公告であり、特別縁故者への財産分与及び国庫帰属の対象となるべき財産の確定を前提とするものであるため、2回目の公告までに相続人が現れた場合や債権者等への清算の結果、残余財産が全くなくなった場合は行なわれません。

不明とされた相続人が権利を主張するためには、必ず(3回目までの)公告期間内に相続人である旨の申出をする必要があり、期間内に申出を行わない場合には一切の権利を失権することとなります。

一方で、この期間内に相続権の主張がなされれば、訴訟で相続人の資格について争われている間に公告期間が満了したとしても相続人の不存在は確定しません。

ただし、相続権を主張した者が訴訟でその資格を争っている場合でも、その者以外の相続について相続権の申出期間が延長されるわけではないとされています。