動産・自動車の相続

動産・自動車の相続

1.貴金属、着物、絵画、美術品(掛け軸)、書画、骨董(陶器、茶器、花瓶、壺)

価値のあるものが相続財産に含まれている場合、価格の公平性を担保するために、オークションの利用や、骨董品屋等で鑑定評価してから処分することとなります。
価格の算定について、権威ある鑑定評価書が添付されていればそれを根拠としてもよいですが、なければ鑑定をして、価格を算定する必要があります。

2.植木、樹木

一般的な流通市場が確立していないので、商品価値を把握することが難しく、伐採するか、植木屋に引き取ってもらう方法が多いです。
ただし、植木や取り外しの困難な庭石は宅地の構成部分ですし、石燈籠や取り外しのできる庭石は宅地の従物と扱われます。現実的には、宅地の相続と一緒に承継されることが一般的です。

3.家財道具一式

相続の対象であり、引渡によって第三者に対し所有権を対抗することができるようになります。しかしながら、一般的に交換価値が低いため、引き取り手がいないのが現実的です。
特に、経済的価値が低い動産については、相続人にとって主観的な価値がある場合があるので、あらかじめ連絡をとり、形見分けなど引き取りの意思を確認する手続が必要となります。

4.自動車の相続

自動車は登録が対三者に対して所有権を対抗するための要件となります。道路運送車両法には、自動車(軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車を除く)は、自動車登録ファイルに登録を受けたものでなければ運行の用に供してはならず(第4条)、また、登録を受けなければ、所有権の得喪を第三者に対抗することができない(第5条1項)と定められています。そのため、相続人に対抗要件を備えさせるためにも、自動車そのものの引渡だけではなく、相続人への移転登録までを行わなければなりません。

それに対し、軽自動車の場合は、登録自動車から除かれ、所有権の得喪についての登録制度が採用されていません。したがって、登録ではなく、動産と同様に引き渡しが対抗要件となります。
つまり、軽自動車の所有者様が死亡した場合、名義変更の手続きをする必要はありますが、普通自動車のように、相続の書類は必要ではありません。

名義変更の申請は、自動車所有者が死亡してから15日以内に行わなければなりません。懈怠していても特に罰則はありませんが、もしも事故があった場合には、相続人全員が自動車保有者として責任を問われる可能性があるので注意してください。
なお、忘れがちですが、自動車の名義書き換えと一緒に自動車損害賠償責任保険の被保険者変更、任意保険の被保険者の名義変更も行わなければなりません。うっかり忘れてしまうと、場合によっては保険が適用されない場合も生じてしまいます。ご注意くださいませ。