特別縁故者に対する財産分与

特別縁故者に対する財産分与

特別縁故者とは

特別縁故者とは生計を同じくしていた人や療養介護に努めていた人などが該当します。例えば、内縁関係等、長年連れ添ってその最後まで被相続人の面倒をみてきた人が、戸籍上、相続人ではないため相続財産を受け取れないような場合です。
特別縁故関係を主張する者は、主張する者自身が家庭裁判所に対して申し立てる必要があり、家庭裁判所が職権で分与することはできません。又、特別縁故者となるか否かは、裁判所の裁量によるものであり、縁故の度合いや献身の度合い、生活状況などを調査したのちに判断されます。

特別縁故者の範囲の具体例

(1)被相続人と生計を同じくしていた者

内縁の配偶者、事実上の養親子、伯叔父母、継親子などの密接な生活関係があるにもかかわらず、相続権の認められていない者などが該当します。したがって、これにあたるとされた者は、ほとんどが親族ないし事実上親族と同視できるほどの者であって、それ以外は少ないといえます。

(2)被相続人の療養看護に努めた者

同居していた者が、看護するのが通常ですから、前述の、生計を同じくしていた者にも該当することが多くあります。入院中や自宅療養中に親族と同じように世話をした民生委員や職場の元同僚、元従業員が認められた例もあります。
付添婦や看護師のように対価を得ている者は原則として、特別縁故者には当たらないとされていますが、「対価としての報酬以上に、被相続人の看護に尽力した看護婦は該当する」とした裁判例があります。

相続財産の国庫帰属

公告の期間満了により、相続人の不存在が確定した後、特別縁故者の分与申立てがなく、又はその分与が一部にとどまり、なお相続財産が残存している場合には、その相続財産は国庫すなわち国家に帰属します。

※参考

共有者中の1名が死亡して、相続人がいないときは、不存在が確定しかつ特別縁故者の不存在が確定したときに限り、その者の持分は他の共有者に帰属します。(民法255)